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記憶術のやり方は面白い! |
記憶術の仕組みはマジックの種のようなもの
| 佐々木 先ほど先生は「記憶力が悪いと思い込んでいた」とおっしゃいましたが、本当は記憶力がよかったのではないですか? そうでなければ記憶術をマスターするのは難しいと思いますが… |
高山 うーん、今思えば記憶力は“並”でしたかね。でも、国立大学を狙うには悪すぎる、といったところです。暗記に対する苦手意識がずっと心の奥底に残っていたせいで、もう必要ない歳になってから記憶術にのめりこんでしまったわけです。
それと、もともと理数系の思考法になじんでいたので、記憶の仕組みには強い関心がありました。一時期、カードマジックのトリックに興味を持ったことも関係しています。記憶術は一種のマジックのようなものですから、その種や仕掛けを知ることは大きな喜びなのです。
そんなわけで、単純記憶力と記憶術はあまり関係がありません。習得のカギを握るのは、記憶術のやり方を面白いと思うかどうかです。
記憶術は覚え方が漫画的で面白い
| 記憶術はそんなに面白いものなのですか? |
私にとって記憶術は単に「記憶の道具」というよりも、実に「面白いもの」でしたね。その方法を一つ一つ知る度に、まるで手品の種明かしをされたような知的快感にひたれます。まさに「目から鱗」とはこのことです。
それから、記憶術では覚え方そのものが漫画的で面白いのです。たとえば、芥川龍之介の代表作「鼻」と「河童(かっぱ)」を覚えるとしますね。始めてこれを習う人は普通、心の中で「芥川龍之介、鼻、河童、鼻、河童…」と繰り返し唱えて覚えます。
ところが記憶術では、「芥川龍之介の鼻を河童がかじった」というイメージ場面を頭の中に視覚的に描きます。イメージの仕方は人それぞれでしょうが、「芥川龍之介―鼻―河童」という画像が一瞬、漫画のように頭に焼き付けられ、もう忘れられなくなります。
記憶術は大脳の中に事件を起こす覚え方
| 芥川龍之介の例は確かにマンガチックですが、勉強をするのにそんなばかばかしいことを考えて大丈夫なのですか? |
どんな覚え方をしようと、人の脳ミソの中まではのぞけませんから(笑)、大丈夫です。
それに私たちの脳は、平凡でクソまじめなことは「つまらない」と感じ、すぐに忘れてしまいます。ばかばかしいからこそ強く印象に残り、記憶がしっかりと定着するのです。
一つ例を挙げれば、カラスが電線に止まっていても何とも思いませんね。そんな平凡な景色はすぐに忘れてしまいます。でも、タヌキが電線の上にいたらどうですか? これはもう「事件」です。普通はありえない光景なので、大脳にかなり強い記憶の痕跡(こんせき)を残すでしょう。
記憶術はこのような「事件」を自分の頭の中に起こして覚えるテクニックです。
記憶術のイメージ作りには公式がある
| 記憶術は、「ありえない光景は強く記憶に残る」という脳の性質を利用するのですね。そこで疑問があるのですが、だれでもそのような強いイメージを描けるものなのでしょうか? |
正直に言えば、記憶術には習得スピードとそのレベルにかなり個人差があります。そして、私が教材を作る上で苦労したのもその点です。できるだけ漫画っぽく、現実離れしたイメージを作るように言っても、実際には平凡なイメージになってしまう人がいます。そこで私は「イメージ化の公式」と「イメージ連結の公式」というものを作ったのです。
たとえばアリのように小さな動物は、人間くらいの大きさにするとそれだけイメージが強烈になります。これは「小さなものは巨大化するとイメージが強くなる」という公式で、記憶術の初歩的なテクニックの一つです。
このような公式を理解したら、すぐいくつかの例題をやって、自分なりのイメージを作るトレーニングをします。こうして記憶術の公式を理屈だけでなく、体験しながら身につけていくのです。
記憶術のコツは五感を使い、感情移入すること
| アリが自分と同じ大きさだと想像したら、ちょっと怖いですね。 |
そうです。その「ちょっと怖い」というような感覚や感情が記憶術上達のポイントです。
というのは、感情を伴った事柄はなかなか忘れにくいという心理学的な法則があるからです。
たとえば旅行などで、何も感動せずぼんやりと眺めていた風景は記憶に残りません。でも、血のように真っ赤な紅葉とか、吸い込まれるように神秘的なエメラルドグリーンの湖などを見て感動したら、だれでもその風景を忘れないでしょう。つり橋を渡って「怖い」と感じたら、やはりそのつり橋はいつまでも記憶に残ります。
だから、記憶術ではイメージするときにできるだけ感情をこめることも重要なテクニックです。食べ物をイメージしたら、おいしそうなにおいを感じ、サボテンなら、とげが痛そうと感じるようにします。視覚だけでなく、聴覚、触角、嗅覚などの感覚器官を総動員するのが強い記憶を生むコツなのです。
このことは記憶術を生んだ古代ギリシャ時代からすでにわかっていました。かの有名なアリストテレスも、記憶にとって五感は大事で、特に視覚が重要であることを見抜いていたそうです。
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「記憶術のやり方は面白いぞ」のまとめ |


★記憶術のやり方は面白い
