記憶術講座 記憶イメージ・キャラ渡辺剛彰著「実用に役立つ記憶術」
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 記憶術|高山メソッド《インタヴュー&レクチャー》

私の秘密。頭の体操。実用に役立つ記憶術


記憶術研究に至る3つのきっかけ

佐々木 少しわかってきました。記憶術は私たちの想像力を利用するのですね。
 ところで、先生が記憶術をやるようになったのには、何かきっかけがあったのですか。

高山 直接のきっかけは昭和50年頃に、団地内の小さな書店で故・渡辺剛彰氏の「実用に役立つ記憶術」という本を見つけたことですが、その前に二つの伏線があるのです。

 一つはテレビが一般に普及し始めた頃の話ですが、NHKの人気番組に「私の秘密」というのがあって、そこで記憶術の実演を見て感銘したことです。記憶術ということばを知ったのはこのときですが、実はその後、記憶術のことはすっかり忘れていました。

 二つ目の伏線は、大学に入って心理学の授業を受けているときに、当時「頭の体操」ですでに有名になっていた多湖輝先生が突然、記憶術の話を始めたことです。そのとき、以前テレビで見た記憶術の実演が、映像として私の脳裏に鮮やかによみがえってきました。

「頭の体操」多湖輝先生の授業

 多湖輝先生のお名前は存じ上げていますが、そんな偉い方が記憶術を知っていたのですね。それで、授業ではどんな話があったのですか?

 記憶術は心理学の世界では「常識」で、昭和の初期に「世界一の記憶術家」といわれた石原誠之という人についての研究論文を書いた心理学者がいるのです。
 それはともかく、私が多湖先生の授業で覚えていることといったら記憶術のことだけです。それでよく心理学の単位が取れたと、今思えば不思議です。

 先生は記憶術のお話を少ししたあと、黒板にこのように文字を書いたと記憶しています。

    1.いちご
    2.肉
    3.さんま

 このあとは忘れましたが、数字の語呂合わせになっていますね。このように自分が絶対に忘れない順番のリストを作っておいて、覚えるべき単語を1番から順に結びつけていくというのです。
 これは渡辺剛彰先生が「基礎結合法」と名づけた方法で、記憶術では中心となるテクニックです。

渡辺剛彰著、真っ赤なカバーの「記憶術」

 そのあと、実際に記憶術の研究を始めるまでにだいぶ期間がありますね。

 暗記中心の試験とは無縁の生活に入り、記憶術をやらなければならない強い動機がなかったからですね。それにいくつかの書店で探したけど、記憶術の本が見つからなかった。やることは他にたくさんありましたから…。
 ところが渡辺先生の「記憶術」という真っ赤な表紙カバーの分厚い本を見つけたとたん、私は中身も値段も確かめずその本をレジに持っていったのです。10年前の授業の感激がよみがえったのですね。記憶術にはそうした魔力があるのかもしれないですよ。

記憶術本を片手に試行錯誤

 魔力ですか。先生はその本で記憶術を身につけたわけですか?

 半分くらいは渡辺本で身につけましたね。残りは他の人の記憶術本や欧米の翻訳本なども参考にしながら、自分で試行錯誤して身につけたものです。

 欧米の記憶術翻訳本は理論的に書かれていて、教える手順もしっかりしたものが多いので参考になります。欠点は、具体例が日本人にはしっくりとしないものが多いことです。致命的なのは語呂合わせですね。原書で英語の語呂合わせになっているところは翻訳不能です。これは「不思議の国のアリス」の言葉遊びのところを読んでも、ちっともおもしろくないのと同じです。

理解力とやる気=集中力が大切

 お話を最初にもどしますが、記憶術以外の記憶法で語呂合わせを使わない効果的なものはありますか?

 お話を最初にもどしますが、記憶術以外の記憶法で語呂合わせを使わない効果的なものはありますか?

 私自身が受験時代、自分では記憶力が悪いと思い込んでいたので、あまりいいアドバイスはできないと思いますが…(笑 )。
 ただ経験的にいえば、「理解すること」が大切だということは確かです。私は高校時代、数学一辺倒の理系人間でしたから、物理、化学、地学などの科目は理解するだけで自然に覚えていきました。ところが暗記を必要とする地理、世界史、日本史などはお手上げでしたね。特に歴史を理解する能力は最低レベルだったので、点数は悲惨なものでした。

 暗記科目はとにかくやる気を出すことです。当時の私は暗記すること自体に拒絶反応がありましたから、高3の夏以降に追い詰められて地理を勉強し直すまで、暗記に集中したことはありません。でも集中力を発揮できれば、それだけで能力は少なくとも2倍以上に高まります。そのことを私は地理を受験科目に選んだことで実感しました。

 自分を追い詰めることによってやる気と集中力を高めれば、潜在的な記憶力が引き出されるというわけですが、そんなことはたいていの秀才がやっていたことなんですね。
 それにしても、あの頃記憶術を知っていれば、人生はだいぶ変わったかもしれない、と今でも思いますよ。

記憶術が通用しない科目

 先生でも「れば」「たら」と考えることがあるんですか。

 人生はほとんどその連続ですね(笑)。
 K・グリムウッドの「リプレイ」という小説で、記憶と知識は元のまま、身体と時代が25年前にもどる男の話があるのですが、私もときどき「リプレイ」を空想することがあります。記憶術という武器があれば、高校3年夏休みからのリプレイで受験対策は十分です。

 もっとも、記憶術では国語、数学、英語の3教科はどうにもなりませんが…。でも、他の科目の暗記時間が大幅に減りますから、結果的には3教科を強化することにつながります。それに邪道であまり積極的にはおすすめできませんが、覚えづらい英単語には記憶術を使うほうが時間の節約になります。

「私の秘密。頭の体操。実用に役立つ記憶術」のまとめ
・心理学の世界では、昭和初期「世界一の記憶術家の研究」が有名
・記憶術を本1冊で身につけるには、工夫と苦労が伴う
・記憶術はことばを鮮やかなイメージに変えて頭に焼き付ける方法である


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